MIP

読み方 えむあいぴー

MIP(エムアイピー)とは「Most Improved Player」の略で、NBAが毎シーズン表彰する最多上達選手賞です。前シーズンから最も著しく成長し、パフォーマンスが大きく向上した選手を称えます。若手や中堅選手のブレークアウトシーズン(覚醒の年)を公式に評価する賞として知られており、将来のスターの「伏線」として注目されることも多い賞です。

MIPの選考基準と投票方法

MIPはMVPDPOYと同様にメディア記者の投票によって決定されます。選考の基準は単純な数字の増加だけではありません。

  • スタッツの向上:得点・リバウンドアシストなどの平均値がどれだけ伸びたか
  • チームへの貢献度の変化:ロールプレーヤーからスターターへ、控えからエースへの「役割の拡大」
  • プレースタイルの進化:新たな技術を身につけた証明(スリーポイント追加、ディフェンス向上など)
  • 出場時間の増加と効率:出場機会が増えて、かつ効率も維持・向上しているか

「前シーズン比でいくら増えたか」だけが基準ではなく、その選手の成長の文脈・背景が重視されます。

歴代の主なMIP受賞者

MIPの歴代受賞者を見ると、後にリーグを代表するスターへと成長した選手が多く、MIPは「未来の主役」を示す先行指標になることがあります。

  • ヤニス・アデトクンボ(2017年):この受賞から3年後にMVPを2連覇し、NBAを代表するスーパースター
  • パスカル・シアカム(2019年):受賞翌年にトロント・ラプターズのNBA制覇に貢献。エースとして成長
  • ジャーレン・ジャクソンJr.(2023年):ブロック王とMIPを同時受賞。怪我からの完全復活を遂げた
  • ド・アロン・フォックス(2023年):サクラメント・キングスをプレーオフに導いた躍進のシーズン

MIPを受賞しやすい選手のパターン

MIPには「受賞しやすいタイプ」が存在します。前シーズンはベンチ要員や限定的な出場だった選手が、新シーズンにスターターとして台頭するケースが典型的です。また移籍によって新天地でシステムに合った活躍をするケース、怪我から完全回復して本来の実力を発揮するケースなども見られます。逆に「もともと実力はあったのに出場機会がなかった選手」が環境を変えて開花するパターンも多く、スカウティングの眼力が問われる賞とも言えます。

MIPとMVPの違い、そしてMIPの意義

MIPは「前シーズンからの成長幅」、MVPは「そのシーズン絶対的な貢献度」を評価します。MVP候補になるような選手はすでに実力が確立されているためMIPの対象になりにくく、両者はほぼ別の選手が受賞します。ただしヤニスのように「MIP → MVP」という最速コースを歩んだ選手もいます。MIPは選手にとって「リーグに自分の存在を証明できた」という名誉であり、契約更改や移籍交渉でも評価が高まるきっかけになります。また、チームとして「若手の育成に成功している」というシグナルにもなるため、フロントオフィスにとっても重要な評価の指標となります。

関連用語

  • MVPMost Valuable Player:シーズン最優秀選手賞。絶対的な個人貢献度を評価
  • ROYRookie Of The Year最優秀新人賞。MIPとは異なりルーキー限定の表彰
  • ブレークアウトシーズン:選手が一気に覚醒して注目を集める突出したシーズン
  • スターター:先発5人に名前が入る選手。控えからスターターへの昇格はMIP選考の加点要素
  • 6thマンオブザイヤー:ベンチから最初に出場する選手に贈られる賞。MIPの対象と重なることもある