DPOY
DPOY(ディポイ)とは「Defensive Player Of The Year」の略で、NBAが毎シーズン表彰する最優秀ディフェンス選手賞です。その年リーグで最も傑出したディフェンス力を発揮した選手1名がメディア記者の投票によって選ばれます。得点王やMVPが攻撃面の評価であるのに対し、DPOYは守備への純粋な貢献を称える唯一の個人賞として位置づけられています。
DPOYの選考基準
DPOYはブロック数・スティール数といった目に見えるスタッツだけで決まるわけではありません。総合的なディフェンス貢献度が評価されます。主な基準は以下の通りです。
- 個人守備:相手チームの主要得点源(エース)を封じ込める能力
- ヘルプディフェンス:チーム全体の守備システムにおける判断力・ポジショニング
- ブロック・スティール数:守備を数字で証明できる実績
- ディフェンスレーティング:その選手がコートにいるときのチームの守備効率
- 守備での存在感:相手チームがその選手を避けてオフェンスを組む「抑止力」
歴代DPOYの傾向
DPOYの歴代受賞者を見ると、センターやパワーフォワードなどの大型選手が多い時代と、よりアクティブな守備を見せるウィング・フォワードが受賞する時代の流れがあります。
- ドワイト・ハワード:2008・2009・2010年と3年連続受賞。圧倒的なブロック力とリム守備でリーグを席巻
- カワイ・レナード:2015・2016年受賞。フィジカルの強さとアンティシペーションで相手エースを封じた
- ヤニス・アデトクンボ:2020年にMVPとDPOYの同時受賞。攻守両面で歴史的なシーズンを送った
- マーカス・スマート:2022年受賞。ガードとしての受賞は稀で、エナジーと粘りのディフェンスが高く評価された
- ビクター・ウェンバンヤマ:2024-25シーズン受賞。ルーキーイヤーにブロック王とDPOYを獲得した前例のない快挙
DPOYをめぐる議論
DPOYの投票はしばしば議論を呼びます。守備はオフェンスに比べてスタッツに表れにくいため、「地味で目立たない真の守備貢献者より、ブロックやスティールが派手に見える選手が有利になりやすい」という批判があります。また同じリーグ内でも守備の強度や評価基準が年によってばらつくため、「あの年の受賞は不当だ」という声が出ることもあります。
近年はアナリティクスの発展により「ディフェンスレーティングへの貢献度」「相手エースに対するFG%上昇の抑制」といったデータが補強材料として使われるようになり、より公平な評価への取り組みが進んでいます。守備の評価はNBAの中でも最も難しい課題のひとつであり、DPOYはその議論の中心に位置する賞と言えます。
DPOYとオールディフェンシブチームの違い
DPOYは1選手のみが受賞する個人賞ですが、「オールディフェンシブチーム(All-Defensive Team)」は1軍・2軍それぞれ5名、合計10名が選ばれます。DPOYを受賞した選手がオールディフェンシブ1軍に入るのはほぼ確実ですが、オールディフェンシブ1軍選手の中でDPOYを逃すケースも多くあります。複数の守備貢献者がいるシーズンほど「誰がDPOYを受けるべきか」という議論が白熱する傾向があります。
関連用語
- MVP:シーズン最優秀選手賞。攻守両面の貢献が評価される。DPOYとの同時受賞は稀
- オールディフェンシブチーム:守備力に優れた選手を称える年間ベストチーム(1軍・2軍)の選定
- ブロック王:1試合あたりのブロック数が最多だった選手。DPOYと重なることが多い
- スティール王:1試合あたりのスティール数が最多だった選手
- ディフェンスレーティング:100ポゼッションあたりの失点。守備効率を測る基本指標