NBAのスタッツとは、試合や選手のプレーを数値化した成績データのことです。ボックススコアに並ぶ PTS(得点)、REB(リバウンド)、AST(アシスト)といった基本の略語から、TS% や PER のような計算を加えた指標まで、種類はかなり多い。ただ、覚える順番さえ間違えなければ難しくありません。
この記事では、NBAのスタッツを「基本のボックススコア → シュート効率 → 総合指標」の3段階に分けて、略語の意味と読み方のコツを一覧で解説します。
スタッツの全体像:30秒でわかる要点
まずおさえておきたいのは次の4点です。
- スタッツは大きく3層に分かれる。①ボックススコアの基本スタッツ、②シュート効率系、③複数の要素を合成した総合指標
- 基本スタッツの略語は十数個覚えれば試合結果がほぼ読める(PTS、REB、AST、STL、BLK、TOなど)
- 「PPG」「RPG」のように末尾にPGが付くと1試合平均の意味になる
- 総合指標(PER、WS、BPMなど)は便利だが万能ではない。何を測っていて、何を測れないかをセットで覚える
ボックススコアの基本スタッツ一覧
試合結果のページに必ず出てくる略語です(出典: Wikipedia “Basketball statistics”)。
| 略語 | 英語 | 意味 |
|---|---|---|
| PTS | Points | 得点 |
| FGM / FGA / FG% | Field Goals | フィールドゴール成功数 / 試投数 / 成功率 |
| 3PM / 3PA / 3P% | Three-Pointers | 3ポイント成功数 / 試投数 / 成功率 |
| FTM / FTA / FT% | Free Throws | フリースロー成功数 / 試投数 / 成功率 |
| REB / OREB / DREB | Rebounds | リバウンド / オフェンス側 / ディフェンス側 |
| AST | Assists | アシスト |
| STL | Steals | スティール(ボール奪取) |
| BLK | Blocks | ブロック |
| TO(TOV) | Turnovers | ターンオーバー(攻撃権の喪失) |
| PF | Personal Fouls | パーソナルファウル |
| MIN | Minutes | 出場時間 |
| GP / GS | Games Played / Started | 出場試合数 / 先発試合数 |
平均値は「PG」付きで表す
シーズン成績では、合計ではなく1試合平均で語るのが一般的です。PPG(平均得点)、RPG(平均リバウンド)、APG(平均アシスト)、SPG、BPG、MPGのように、末尾のPG(per game)が「1試合あたり」を表します(出典: Wikipedia “Basketball statistics”)。ニュースで「28.5点、8.2アシスト」とあれば、通常はこの平均値のことです。
ダブルダブル・トリプルダブル
PTS、REB、AST、STL、BLK の5部門のうち、2部門で2桁を記録するとダブルダブル、3部門ならトリプルダブルです。4部門のクアドラプルダブルはNBA史上4回しか起きていません(出典: Wikipedia “Basketball statistics”)。
シュート効率系スタッツ:FG%だけでは足りない
「シュートがうまい選手」を数字で語るとき、FG%だけを見ると判断を誤ることがあります。3ポイントは2ポイントより1点多いのに、FG%の計算では同じ「1本」として扱われるからです。この弱点を補うのが eFG% と TS% です。
eFG%(実効フィールドゴール成功率)
eFG% = (FGM + 0.5 × 3PM) ÷ FGA
3ポイント成功に0.5本分のボーナスを与えて、「3Pの1点分の価値」を補正したFG%です。2P主体の選手と3Pシューターを同じ土俵で比較できます(出典: Wikipedia “Effective field goal percentage”)。
TS%(トゥルーシューティング)
TS% = PTS ÷ (2 × (FGA + 0.44 × FTA))
フリースローまで含めた得点効率の指標で、2P・3P・FTのすべてを1つの数字にまとめます。得点効率の測定では「ゴールドスタンダード」とされる指標です(出典: Wikipedia “True shooting percentage”)。ファウルをもらってFTで稼ぐタイプの選手は、FG%が平凡でもTS%が高く出ることがあります。
効率系は「FG% → eFG% → TS%」の順に守備範囲が広がる、と覚えておけば十分です。
総合指標:1つの数字で選手を測る試み
複数のスタッツを合成して「選手の総合力」を1つの数字にしたものが総合指標です。代表的なものを紹介します。
EFF(エフィシエンシー)
NBA公式サイトに掲載されるシンプルな効率値です。
EFF = (PTS + REB + AST + STL + BLK) − (FG失敗 + FT失敗 + TO)
貢献を足してミスを引くだけなので直感的ですが、統計コミュニティでの評価は高くなく、選手比較には次のPERの方が広く使われています(出典: Wikipedia “Basketball statistics”)。
PER(プレイヤー・エフィシエンシー・レーティング)
アナリストのジョン・ホリンジャー(John Hollinger)が考案したオールインワン指標です。特徴は3つあります(出典: Wikipedia “Player efficiency rating”)。
- リーグ平均が常に15.00になるよう調整される。15を超えれば平均以上、というシンプルな読み方ができ、シーズンをまたいだ比較もしやすい
- 毎分あたりの生産性で測るため、出場時間の短い控え選手と先発を比較できる
- チームのペース(攻撃回数の多さ)で補正されるため、走るチームの選手が不当に有利にならない
一方で弱点もはっきりしています。PERはブロックとスティール以外の守備貢献をほとんど拾えません。屈指のディフェンダーとして知られたブルース・ボウエン(Bruce Bowen)が1桁のPERを記録し続けたのは有名な例で、考案者のホリンジャー自身も守備の測定が不得意なことを認めています(出典: Wikipedia “Player efficiency rating”)。
WS・BPM・VORP・+/-
より新しい世代の総合指標として、次のようなものがあります。いずれも Basketball-Reference などのスタッツサイトで確認できます。
| 指標 | 何を測るか |
|---|---|
| WS(Win Shares) | 選手の貢献を「チームの勝利数」に換算して配分したもの |
| BPM(Box Plus/Minus) | 100ポゼッションあたり、平均的な選手と比べてどれだけ貢献したか |
| VORP | 代替水準(すぐ補充できるレベル)の選手と比べた総合的な価値 |
| +/-(プラスマイナス) | その選手がコートにいた時間帯のチーム得失点差 |
| USG% | 出場中、自分のシュート・FT獲得・TOで攻撃を終わらせた割合 |
このほか、オンコート/オフコートの得失点差を発展させた APM(Adjusted Plus-Minus)や RPM(Real Plus/Minus)、チームの攻守の効率を測るオフェンシブレーティング/ディフェンシブレーティングなども上級スタッツに含まれます(出典: Wikipedia “Advanced statistics in basketball”)。まずは「そういう系統の指標がある」と知っておくだけで、コラムや海外報道の読解には十分です。
スタッツの読み方 3つのコツ
コツ1: シーズンと文脈を必ず確認する
同じ「25点」でも、リーグ全体の得点が多い時代と少ない時代では価値が違います。スタッツを見るときはどのシーズンの数字かをまず確認しましょう。当サイトの記事でも「2025-26シーズン平均」のようにシーズンを明記しています。
コツ2: 平均(PG)か合計かを区別する
シーズン序盤は出場試合数が少ないため、合計値はあてになりません。逆にキャリア通算の話では合計値が主役になります。いま見ている数字が1試合平均か、合計かを意識するだけで読み間違いが減ります。
コツ3: 総合指標は「1つの意見」として扱う
PERにもWSにも設計上の癖があり、順位は指標ごとに入れ替わります。1つの指標だけで「この選手の方が上」と結論づけるのではなく、複数の指標と実際のプレーを合わせて判断するのが安全です。
スタッツはどこで見られるか
当サイトでも一次ソースとして使っている定番は次の2つです。
- NBA.com Stats: NBA公式のスタッツページ。当日の試合のボックススコアから選手のシーズン成績まで揃う
- Basketball-Reference: 1946年からの歴代データを網羅する定番サイト。PER・WS・BPM・VORPなどの総合指標もここで確認できる
まずはNBA公式で基本スタッツに慣れ、物足りなくなったら Basketball-Reference で総合指標を眺める、という順番がおすすめです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 最初にどのスタッツを覚えればいいですか?
PTS(得点)、REB(リバウンド)、AST(アシスト)の3つで十分です。この3部門はダブルダブル・トリプルダブルの判定にも使われる中心的なスタッツで、ニュースの見出しもほぼこの3つで構成されます。慣れてきたら STL、BLK、TO、FG% を足していきましょう。
Q2. FG%とTS%はどちらを見るべきですか?
目的によります。「シュートの正確さ」を単純に知りたいならFG%、「得点をどれだけ効率よく取っているか」を知りたいならTS%です。3Pやフリースローが多い現代のエース級を評価するなら、TS%の方が実態に近い数字になります。
Q3. PERが高ければ良い選手と考えていいですか?
攻撃面についてはおおむねそう読めますが、守備は別です。PERはブロック・スティール以外の守備貢献を測れないため、守備専門の名手ほど低く出ます。守備も含めた評価では、BPMなど他の指標や実際のプレーと合わせて見るのが安全です。
Q4. トリプルダブルはどのくらいすごい記録ですか?
5部門中3部門で2桁という条件自体が高いハードルで、達成した試合ではほぼ間違いなくその選手が主役です。ちなみに、さらに上のクアドラプルダブル(4部門2桁)はNBAの歴史で4回しか記録されていません。
まとめ:3層で覚えればスタッツは怖くない
最後に、この記事のポイントを振り返ります。
- NBAスタッツは基本(ボックススコア)→ 効率(eFG%・TS%)→ 総合指標(PER・WS・BPMなど)の3層で整理できる
- 基本略語は十数個。末尾PGは1試合平均の意味
- eFG%とTS%は、3PやFTの価値を織り込んだ「進化版FG%」
- PERはリーグ平均15.00が基準。ただし守備の評価は苦手
- 総合指標は1つの意見。複数の数字と実際のプレーを合わせて判断する
略語の意味が分かると、ボックススコアは「数字の羅列」から「試合のあらすじ」に変わります。次に試合結果を見るときは、得点以外の列にも目を走らせてみてください。
参考
- Basketball statistics(Wikipedia英語版)
- True shooting percentage(Wikipedia英語版)
- Effective field goal percentage(Wikipedia英語版)
- Player efficiency rating(Wikipedia英語版)
- Advanced statistics in basketball(Wikipedia英語版)
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