ポイントセンター
ポイントセンター(Point Center)とは、センターの体格とポジションを持ちながら、本来はポイントガードが担う攻撃の組み立てまでこなす選手のことです。ゴール下の仕事に加えて、ドリブル、パス、状況判断に優れ、オフェンスの起点そのものになれるビッグマンを指します。
ポイントセンターのプレースタイル
典型的なのは、ハイポストやエルボー(フリースローラインの角)でボールを受け、そこから攻撃を指揮するスタイルです。カッターへのアシスト、外へのキックアウト、ハンドオフからの合わせなど、パスでチーム全体を動かします。ピック&ロールでもボールハンドラー側を務めることがあり、守備側は「センターにボール運びとゲームメイクをされる」という通常とは逆の対応を迫られます。
代表格はニコラ・ヨキッチ
現代のポイントセンター像を完成させたのがニコラ・ヨキッチ(Nikola Jokić)です。センターながらシーズンMVPを3度(2020-21、2021-22、2023-24)受賞し、得点・リバウンド・アシストのすべてでチームを引っ張る「攻撃の頭脳」として君臨しています。歴史をさかのぼれば、ビル・ウォルトンやアルビダス・サボニスといったパスの名手のビッグマンが原型とされ、近年はアルペレン・シェングンなど後継者と呼べる選手も増えています。
ポイントセンターが生まれた背景
3ポイントとスペーシングを重視する現代NBAでは、コートを広く使い、5人全員がパスの経由地になれるオフェンスが主流になりました。パスのうまいセンターは、ダブルチームを引きつけながら空いた味方を見つけられるため、戦術の中心として最大限に価値が高まっています。
守備側はどう対応するのか
ポイントセンターを守るのは簡単ではありません。ダブルチームを仕掛ければ的確なパスで空いた味方を使われ、1対1で守れば体格とスキルで押し切られます。ヨキッチに対して各チームが毎年新しい守り方を試しては攻略される、という構図が続いているのは、ポイントセンターという役割の完成度の高さを物語っています。唯一の弱点を挙げるなら守備面の負担で、攻撃で消耗するぶん、ゴール下を守り切る体力の管理がチームの課題になりやすいです。
ポジションレス時代の象徴
ポイントセンターの隆盛は、「ポジションは背番号ではなく役割で決まる」という現代NBAの価値観を象徴しています。ガードがリバウンドを取り、センターがアシストを量産する時代には、従来の1番から5番までの分類はあくまで目安にすぎません。観戦するときは「誰が一番背が高いか」ではなく「攻撃が誰の手から始まっているか」に注目すると、ポイントセンターの支配力がよく見えてきます。ハイポストでボールを持った瞬間に味方4人が一斉に動き出すチームがあれば、そのセンターは間違いなく攻撃の頭脳です。